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【悟りのその先へ】過去の可能性をエネルギーに変える。
もし、「あなたについての本を書きたいから、あなたの人生を振り返ってください」と言われたら、どんな話をしますか?
幼稚園、小学校、中学校、高校、そして大人になって就職し、家庭を持って…
それぞれの時期に経験した、たくさんのエピソードを、雄弁に語ることができる方もいるでしょう。
その一方で、「特徴的なエピソードは一つや二つはあるけど、他はそんなにはっきり覚えていないし、話す価値があるようなものじゃないしな…」と、考えこんでしまう人もいるかと思います。
「私の人生」を構成している過去の要素を、どのように記憶しているかは、人によって様々です。
その範囲がとても広い人もいれば、かなり狭い人もいる。
けれどどちらにせよ、過去の記憶というものが、いまここを生きる「私」に対して、少なからず影響を与えていることはたしかでしょう。
そこで今回お話ししたいのは、過去の記憶の広がりが、「いまここ」の私が感じる充足感と結びつくのではないか、ということなんです。
つまり、「私の人生」を構成する過去の記憶が多ければ多いほど、しかもその内容が多岐にわたればわたるほど、「いまここ」の私は、エネルギーに満たされることができるように思うんです。
前回は、「悟り」のその先として、自分の目の前にあるたくさんの可能性から、人生を前向きに歩むエネルギーを得ること(ポスト「悟り」)が、これからのスピリチュアルにおいてとても大事なのでは?という、YOKU STUDIOの考えをお伝えしました。
ポスト「悟り」の実践のなかで、私たちはどのように、「いまここ」の私を満たし、そのモチベーションを上げてくれるものとして、「過去の可能性」を活用していくことができるのか?
具体例とともにわかりやすく解説しますので、ぜひご覧ください!
・過去は「いまここ」で作られる
以前の記事で書いたように、私たちが当たり前に「揺るぎのない事実」だと考えている過去というものは、実は「いまここ」の私の潜在意識が作り出しているものにすぎません。
たとえば小学校の頃の記憶って、すごく断片的だと思うんです。
当時、小学生の私が経験した物事は、ほんとうは膨大にあるはずです。
けれど、ある特定の記憶のみがピックアップされて、何らかのトリガーに触れるとすぐ脳裏によみがえる状態で大切に保存されているからこそ、私たちはそれを「小学生の頃の記憶」として扱うことができる。
特定の記憶を選び取り保存し続けようとする潜在意識の癖、言い換えれば魂レベルでプリセットされた感情や思考のパターン、あるいは価値観や信念があるからこそ、過去の記憶というものが存在しているわけです。
小学生の頃を思い出してみても、「いじめられっ子で、毎日がまったく楽しくなかった」という記憶しか出てこないとしますよね。
もちろんそれが、強いストレスの原因となる辛い出来事であったことは間違いなのですが、その記憶だけが特権性を帯びて脳裏に残り続けている理由としては、やはり潜在意識の癖の影響があると考えられるんです。
「悟り」とは、この潜在意識の癖を手放し、自由でフラットな状態で、過去と向き合えるようになる状態です。
たとえば、小学生の頃に、朝顔を一生懸命育てたこと。習い事のスイミングをがんばっていたこと。公園で兄弟と遊ぶのが日課だったこと。お気に入りの本を繰り返して読んでいたこと、などなど。
手放しによって、「いじめられっ子だった」という記憶に覆い隠されていた、様々な過去の可能性を見ることができるようになるんです。
では、この過去の可能性を、私の人生を前向きに歩んでいくエネルギーに変えていくため、つまり、ポスト「悟り」の実践のためには、具体的にどうすればいいのでしょうか?
・過去の可能性と「いまここ」の私をつなげてみる
過去の記憶への向き合い方と、「いまここ」の私のモチベーションというのは、実はかなり密接に結びついています。
もし、「人付き合いが苦手だった」という強い記憶だけを保持し続けて、それ以外の過去の可能性を排除してしまっていたとしたら。
「いまここ」の私を支える過去として採用できるのは、「人付き合いが苦手だった」という事実だけ、ということになります。
そうすると、「いまここ」の私の、人生に対するモチベーションを上げることって、なかなか難しいですよね。
「過去ずっと人付き合いが苦手だったから、なるべく人と関わらない仕事をしていこう」、「過去ずっと人付き合いが苦手だったから、これからも親友と呼べる人はできないに違いない」…。
このように、自分を孤独な状態に置き、それ以外の現在・未来の可能性を排除するような形で、感情や思考が働きやすいんです。
もし、潜在意識の癖を手放すことができれば、それまでブロックしていた過去の可能性をたくさん拾い上げることができます。
「人付き合いが苦手だった」という強い記憶の影に、「犬と遊ぶのが好きだった」「料理が得意だった」「家族旅行が楽しかった」「ブログでは自分を出せた」など、さまざまな出来事が隠れているかもしれません。
そのような、複数の過去の可能性、つまりたくさんの「自分は〇〇だった」を感じ取ると、それらと「いまここ」の私とを結ぶ、何本ものラインができるんです!
「犬を飼おうかな」、「料理をしてみようかな」、「旅行に出かけてみようかな」、「情報発信を仕事にしてみようかな」…
こんなふうに、複数の過去を参考に、「いまここ」の私を満たし、生活を楽しくする行動のモチベーションが、いくつも生まれてくること。
それが、ポスト「悟り」には重要なんです!
・過去の複数性が「いまここ」の私を強化する
「自分は〇〇だった」という可能性をいくつも想定できると、その分だけ「いまここ」の自分を満たし、前に向かっていくためのモチベーションとなる活動可能性の数を増やしていくことができます。
しかし、「自分は〇〇だった」という可能性が、一つだけ、あるいはとても少ないと、その活動はかなり限定されてしまいます。
たとえば、「私はとても頭が良く、いつもテストで一番だった」という、一見ポジティブな過去の記憶があったとして。
その一つの記憶だけを強く持ち続けると、「いまここ」の私のモチベーションは、「優秀な成績をおさめる」「頭が良いと周囲から認められる」などに絞られてしまうんですね。
するとそのモチベーションが、がっちりとした活動目標や規範へと姿を変え、さらには執着や強迫観念になり、いつしか自分を縛りつけることになる。
過去の可能性が単一だと、そこから必然的に生じる限定された目標が達成されなかった時、強く落ち込んだり、自己否定的な感情にさいなまれることにつながってしまいがちです。
だから、過去の可能性と、そこに紐づいたモチベーションは、単数ではなく複数あった方が、ストレスフリーに毎日を送り、日々の活動のなかで「いまここ」の充実感を得ることにつながりやすいんです。
まずは、「昔、○○が楽しかったから、また〇〇してみようかな!」「かつてがんばっていた△△に、また取り組んで、仕事に生かしていけたら面白いかも!」といったような、いろいろな可能性を思い描いてみること。
そして、そのモチベーションから派生する活動可能性のなかで、「いまここ」の私が無理なく楽しくできそうなものに、とりあえずたくさん取り組んでみること。
そうすると、「いまここ」の充足感を得ながら、自分の現在・未来の可能性をぐんぐんと広げていくことができます。
ここで大事なのは、その行動から生まれる結果に執着せずに、それに取り組んでいるプロセス自体を楽しむことです。
「いつまで続くかは未定だけど、とりあえず料理教室の体験レッスンに行ってみようかな」、「仕事につながるかわからないけど、無理なく書けそうな週1ペースでブログを書き始めようかな」…
それぐらいのゆるいモチベーションで活動をはじめてみることが、ポスト「悟り」の実践にはちょうどいいんです。
しかも、活動可能性が複数あると、そのなかの一つの活動が上手くいかなくなったとしても、別の活動が「いまここ」の私を満たし、前向きなエネルギーを与えてくれる。
強い挫折や失望感を味わうことなく、ゆるやかに「いまここ」を楽しむプロセスを続けていくことができるんですね。
だからこそ、過去の複数性は、「いまここ」の私のエネルギーを高める上では、非常に重要だと言えます!
ポスト「悟り」の段階においては、過去の複数性を、いまここ」のエネルギーに変えていくことができます。
このように考えれば、ポスト「悟り」は、けっして現実離れした理想論ではなくて、「いまここ」の暮らしをもっと豊かに、エネルギッシュにしてくれる、実用的な意識改革として定義できるのではないでしょうか?